縁あって看護学校で「薬物と看護」の非常勤講師をやっています。
このコーナーでは講義での一端を元に書いています。
まずは小テストの話から
インスリン製剤の記述はどちらが正しいか?
1)インスリン1単位は0.01mLである。
2)インスリン1単位は1mLである。
正解は1)です。
これは単純なことですが、医療の現場では事故防止の点から、とても大事なことです。
以前、インスリン製剤は2規格あったのですが、事故防止の観点から1規格に統一されました。
われわれの膵臓は、1日に約40単位のインスリンを分泌しています。
従って、医療の現場でも1回使用量は通常それ以下です。
40単位は0.4mLと体積はとても少ないので、インスリン製剤を扱う際、通常はインスリン専用の注射器を使います。
T.M.
もしも、1単位は1mLと勘違いして注射してしまったらどうなりますか?
大変なことになりそうで……。
高カロリー輸液を使う場合があるのですが、次のような事例があります。
Aさんは点滴を準傭する際、指示書を見てインスリンの量を8単位と確認したが、インスリン8単位を8mLだと思い込み、1OmL用の注射器でインスリン8mLを500mLの輸液に混合した。投与開始から約2時間後、患者は意識レベルが低下するなどの低血糖症状が認められたことから、インスリンの過量投与がわかった。
脳細胞はブドウ糖のみをエネルギーとして活動しています。
従って、著しい低血糖で死に至ることがあります。
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