みんなの薬理学ノート~その9~

フォーリア

2008年12月12日 23:42

縁あって看護学校で「薬物と看護」の非常勤講師をやっています。このコーナーでは講義での一端を元に書きます。

まずは小テストから

下剤について誤っているのはどれか?
1)急性虫垂炎においては、穿孔の危険があるので下剤投与は禁忌である。
2)腸管閉塞においては、症状が悪化することがあるので下剤投与は禁忌である。
3)多量の硬い固形状の便があるときは、刺激性下剤で腹痛が悪化することがある。
4)ヒマシ油は、小腸内の有害物質が水溶性の場合はその体内吸収を促すので、禁忌である。

たかが下剤、されど下剤!
というのも、状態によっては下剤を使ってはいけない場合があるのです。
下剤投与の禁忌を整理して書くと次のようになります。
ア)急性虫垂炎⇒穿孔の危険がある
イ)腸管閉塞⇒症状が悪化
ウ)多量の硬い固形状の便があるとき⇒刺激性下剤で腹痛が悪化することがある。
エ)多くの下剤、特に大腸刺激性下剤⇒痔、骨盤内臓器の炎症、月経、妊娠時には通常禁忌
オ)大黄、アロエ⇒授乳中は禁
カ)ヒマシ油は小腸内の有害物質が腸溶性の場合はその体内吸収を促すので、禁忌

従って、問題の回答は4)です。
問題では腸溶性が水溶性になっています。
何らかの薬品を誤飲した時の治療にヒマシ油を使うことがあるのですが、この場合「なにを飲んだのか」正確な情報が必要になります。その情報が救命の決め手になることがあります。
                                 T.M

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